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2019.07.12

造り手への旅路 (13) 1500年続く保存食をブランディングする5代目

今のかつお出汁文化の原点、1500年の時を経て作られる保存食
潮鰹(しおかつお)を作る現場を見るべく

さらに南下、西伊豆 避難港の要所であった田子地区へ

今回訪れたカネサ鰹節商店さん
看板に食文化への意気込みが漂う

 

潮鰹を作る際、おおよそ鰹3tに対して
塩2tを一度に使う

塩分濃度はかなり濃い目
時代に逆行してるけど常温で保存できるような昔ながらの作り方を貫く

何故か

「神に捧げられ、1500年変わることなく伝わってきた伝統食
その文化を残したいんです」
と、カネサ鰹節商店 五代目 芹沢安久さん

 

カネサ鰹節商店 五代目 芹沢久さん

 

元々カツオはアワビとともに、神事にはなくてはならない海産物
荒硬魚とも呼ばれ、
加工しやすく味や滋養も豊かで紅白のめでたい色彩は古来より日本人に愛され、捕獲量もあるこの魚をより長く楽しめるよう、加工技術も発達してきた

 

神事に使われる際の装飾された潮鰹
その年に使われた藁で飾られるが、今使っているのは芹沢さんお1人だけ

 

そして潮鰹
神に捧げられたこの食べ物は正月になると下りものとして人々の口に入る
軽く炙ってお湯を注げば立派なお出汁に
これがカツオ出汁の始まりとなる
その歴史、1500年以上!
大宝律令の頃、税金代わりに収められており、田子地区より平城京に収めたという木簡も見つかっている

 

鰹を捌く際、背ビレをさく馬蹄包丁 など独特な包丁たち 10人で3〜4ン 手際よく切り分けて行く この包丁も今では作る鍛冶屋さんもいなくなった

鰹節の最高級 本がれ節の歴史は200年くらい
つまり鰹加工品の最新式だ
鰹を使った究極の発酵食品と現行最古の保存食
最も古いものと新しいものを2つ作っているのはカネサ鰹節商店さんだけ

 

左から潮鰹、なまり節、荒節、本枯節
ご案内してくださった芹沢さんが見せてくれた鰹の漬け汁
漬け汁は10年以上継ぎ足し
塩分は高いからくさやにはならないが徐々に発酵している
ありがつおTシャツ

五代目ってすごいですね
と言うと
「自動的に受け取っただけです」と穏やかに返される

本来は神様のものだけど、この近年の減塩風潮により文化が廃れ絶滅に危惧を抱き、2009年西伊豆しおかつお研究会を立ち上げた
地元でも神の食べ物を侮辱し商売にするのかと散々反対されたが、芹沢さんは折れなかった

芹沢さんの熱意は届き、今では町ぐるみでしおかつおを発信、広めるためにご当地グルメ”西伊豆しおかつおうどん”も登場
いまや甲子園や学校給食にも採用され、スローフード協会など世界からも注目集める

特色が無くなってしまうのは記憶に残らず次もない
自分たちも行きたいと思う場所と文化を、
伊豆半島の文化を残し盛り上げたい
そして次世代の子供たちに誇れるものを残したい

今日も芹沢さんの鰹文化継承への挑戦は続く

 


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