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2020.12.25

造り手への旅路(27)タネと絞り

岡山県西粟倉は山の面積が8割越える

この山に囲まれた土地で油姫と呼ばれる人がいる

ablabo.代表 蔦木由佳さんだ

(ablabo.さんについてはこちらの記事もご覧ください)

先日、念願の工房へお邪魔してきた

 

 

折しも一年で一番冷える日に当たったらしく朝から凍ってトイレの水が出ないと聞いた

確かに木々には霜がおり吐く息も白い

 

年によっては積雪もすごく一日駐車場の雪かきで追われて「こんなのやってられない笑」と仕事も休みになるそうだ

 

 

油はとにかく原料が大事

植物の種子から命と力をもらうから、味わいもその出来不出来で大きく左右される

 

特に荏胡麻は年によっては味が大きく作用されるが、今年は

水が欲しいときに雨が降らない

山から引っ張ってきても足りない

収穫量も去年の半分と厳しい年と由佳さんは話しながら顔を引き締めていた

 

 

ablabo.さんでは農家さんからの持ち込み種子での搾油依頼も引き受けている

北は北海道から九州まで「特に宣伝もしていないんですけど」口コミでその丁寧な搾油にうちの種を託したいと広まった

 

もとろん有り体に言うと使い物にならない、アブラにならない可能性もある

タネの状態で酸化してたり、収穫してからの処理が悪かったり

搾油のタイミングや鮮度もあるが、一年たってもいいちゃんと味があるタネもある

処理と成育が大事なのだ

 

 

販路も広がった今、自分の工房の搾油に加え、持ち込みまでやっては大変ではないですか?と聞いてみた

 

由佳さん曰く

「持ち込み受けたのは、工房を始めた頃、自分の原材料もなく先ず機械購入しちゃったんです。そしたら知り合いのゴマ農家さんがうちのを使っていいよって。そこからクチコミで広がり初期からやっているんです」

 

そして、

 

「自分の問題

というより

日本の問題です」

 

と続く

 

 

絞りの手間や問題よりも

少しでもタネを取るということをしてくれる農家さんが増えることが将来的にはいいと思ってます

だから辞めません

 

「ただ、1日に絞れる量は決まっているのでいそげないです

急いでも急げない

今預かっても年明けになってしまいます」

 

 

絞れる量とは?

現在の工房では一日に絞れるのは13kg

荏胡麻は約3割油が取れるので4キロほど絞れる計算だ

そして搾油に至るまでの工程

ここは職人としての腕の見せ所

タネを選別する

焙煎する

圧力の搾油時間を種子ごとに変える

全ては師匠から教わった知識と経験に裏打ちからくるもの

師匠の工房では種子が入る真夏だけに搾油をしていた

 

「次の彼岸(九月)がくるまでに絞れ」という油屋ならではの保管に関する言い伝えもあるとか

 

 

しかも薪火をがんがんにくべて

「灼熱もいいところほんっとに、汗ダラダラで熱かったですね笑」

 

 

タネのつぶれ具合、タネの中身や音

「とにかく五感をフル活動して」

焙煎・搾油をする

熱々の煎りたてをこうやって確かめるんですよと模してくれた

 

 

しかし、今の工房では焙煎具合や搾油時間、ブレンドまで数値化することに努めた

 

それは

「油屋を増殖したいんです!」

と由佳さん

 

 

五感で絞ることはとても良い経験となったし、それがなければ今のアブラは作れないけれど、それは一人で終わってしまう

 

 

油を絞る人、タネを取る農家さんが増えるためには人に伝えなくてはいけない

 

 

現在工房ではマミちゃんと共に搾油をしている

 

マミちゃんはやってきて4年目

食に関わる仕事がしたいと門を叩いた

 

でも、「面接の時、ablabo.の油食べたことなかったんだよね笑」と

よくそれで採用しましたねと聞くと

「目に見える情熱を持ってやってきた人は挫けやすい」

「こんな山奥にバリバリの理想や気持ちを持ってくるよりマミちゃんぐらいフワッとしていた方が長く一緒に出来ると思ったんです」

実際にマミちゃんはふわっとしていてとても良かった

 

 

そして西粟倉にこもり続けてもアブラも売れない

「だから2人体制に、私は外に出れるんです」

そして由佳さんをきっかけに油屋の仲間も全国に3人増えた

 

 

 

もちろん経験も大事

「タネの声をきけ」

 

お師匠さんに初めて言われた台詞がこれ

どういうことだ!?と思ったが、今では語感を研ぎ澄ませて作業してたことによりわかってきた事も

「焙煎は赤外線で温度管理するが

正直食べないとわからない」

 

見ていいタネ!と思ったらあまり温度上げずに優しく煎る

 

一般に多く流通しているものは700度という超高温の熱風に通すものがよくある

焙煎温度高いほどタネが潰れやすく油がでやすい

だから歩留まりメリットを考えて高めに設定する事が多いそうだ

そして低い温度だと味わいが原料に左右される美味しくならない

一定の味を作りたいなら高止まりに

 

だからこそablabo.では丁寧に煎る

ごまを絞ってる時は近所の方から美味しい匂いがして困るって言われるとか

 

搾油したのちはおり引き

一週間ほど静置して分離、濾過すると澄んだ油に

濾過後は産業廃棄物になるからと

産業廃棄物の有機肥料を作る機械の差し油(植物油しか使ってはいけない)として卸している

工房は山に囲まれてはいるが、夏は暑いし、冬も暖房なし

暖房というよりも油は

なるべく温度変化を与えないことが大事

 

ここまで聞いてつくづく思ったので由佳さんに言ってみた

ワインと似ていますよね?

そうなんです、と由佳さん

「ワインとコーヒーにはシンパシーを感じています

シングルでももちろん価値あるし

ブレンドで面白さが増す

コーヒーは焙煎で味変わるしワインも香りと味わいが作柄と造り手で変わってくる」

 

とても高価な圧搾袋
高い圧力をかける為とにかく丈夫なもの
とにかく搾油圧がすごく、
どれくらいかというと「マリアナ海溝に近い水圧」70メガパスカルという高数値

 

昔の油絞りは両脇からハンマー叩いて圧搾してた

現在では機械を使うが、2030キロ袋担いだり、一斗缶運んだり力仕事には変わりがない

 

そして今12月は荏胡麻の搾油シーズン

一番えげつけないこの時期は

搾油できる量が決まっているため

スタッフまみちゃんと時間を入れ替えながら早朝から深夜までフル回転

機械を清潔に保ち、それぞれが混ざらないように都度洗浄するが、そうすると水と油

一晩は絶対使えないため乾燥させる時間が必要となる

明日新しく良い油を絞るために今できることを

とある農家さんに言われた

「全国の荏胡麻油を食べ比べてここならきちんと絞ってくれそう」

と選ばれたのが嬉しかったと顔を綻ばせた

 

 

油は絞ると酸化してしまう

だから使う分だけ通年絞る

一日かけて4キロは非効率だけどその日のうちに瓶詰めできる小回り大事に

大変でも、ゆっくりでも

今日もablabo.は極上の油を絞っている

 

by.yuki kimura


 

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